先取り学習って?
幼児では就学前から漢字を覚えたり、九九を暗唱したりといった先取り学習をしている幼稚園も多くありますが、就学してからの日本の義務教育では、年齢に相当する学年より上には在籍できないことになっています。
したがって、本来の学年より上の内容の学習は、たいてい自宅か塾で行うことととなります。
教える側の気持ちの余裕が違う
自宅で勉強を教える際に、先取り学習であれば、気持ちに余裕をもって教えることができます。
うちの子は小学2年生から算数の自宅学習を始めたのですが、当初は2年生の算数の単元がなかなか進まなかった時期があり、少し焦りがありました。
今考えれば、焦る必要など全くなかったですし、これから先取り学習を自宅で始める保護者の方にも、たぶん大丈夫ですよとお伝えできますが、学年相当の単元すらなかなか理解できなかった頃は、ただただ焦りがありました。
これは教える側のえごですが、本来の学年より上の内容であれば、子供がなかなか理解しなくとも、ある意味で気持ちの余裕をもって、ゆっくりじっくりと教えていくことができます。
ですが、本来の学年の内容や本来の学年より下の内容をなかなか理解しないときは、教える際にもつい力が入ってしまうことがあるかもしれません。
つい力が入ってしまうと、たとえ声に出さなくとも、どうして分からないんだろうという焦りやイライラを子供は感じ取り、子供のために教えてるにもかかわらず、子供の心が離れてしまう悲しい時間になってしまいます。
そのような事態になる前に、先取り学習をしておいて、「ほんとはちょっと先の内容だから、まだ分からなくても大丈夫だからね」とゆっくり教えてあげるほうが、お子さんも気持ちよく勉強できることでしょう。
先に学習しても、忘れてしまわない?
たとえば、算数の先取学習をしていると、あまり使わない公式は忘れてしまうことも多いです。
三角形の面積は、算数から数学へと進んだ後もたびたび登場してくる公式なので、なかなか忘れることはないですが、円すいの母線の長さの公式は?なんて言われると、けっこう忘れてしまっていたりします。
ですが、一度しっかりやった内容なら、たとえ忘れてしまっても、少しの時間を割くだけですぐに思い出すことができます。
先取り学習で自信のある子どもに!
教室で積極的に手を挙げて授業へ参加するのはどんな子でしょう。
そういった子は、たいてい授業の内容をよく理解できています。自分の答えに自信があるからこそ、手を挙げて積極的に発言ができているように思えます。
「もし間違えていたら恥ずかしい」、こんなことを考えて消極的になってしまう子供達も、先取り学習をすることで自信をもてるようになり、授業へ積極的に参加するようになり、ますます理解を深めていきます。
おすすめは断然「算数」の先取り学習
算数以外の教科では、たとえ理解が浅くとも次の単元に進んで困ることは少ないですが、算数はそうはいきません。
算数という教科は、前の単元を確実に理解しておかないと、次の単元ではさらに理解することが難しくなってしまいます。
そういった意味でも、先取り学習をして、本来なら苦手になってしまっていたかもしれない単元を、時間をかけてでも確実に先につぶしておくのは、算数の学習に非常に有効です。
また、計算問題だけでなく、同量かそれ以上の文章題もたくさん解くことで、多少は文章の読解力にも良い影響があるかもしれません。
算数は延々とつながっていく教科
今日の算数は明日の算数のため
学校の算数の各単元の進め方というのはよくできていて、子供達は算数を使ってできることを、毎日少しずつ確実に増やしていきます。
今日これを習ったら明日はこれ、明日これを習ったら明後日はあれ、というように、単元の進め方がとてもよく練られて作られていることに感心します。
しかしこれは、うがった見方をすれば、一度つまづいたまま次の単元に入ってしまうと、取り戻すのが困難というばかりか、次の単元も、そしてその次の単元も、きちんと理解することができないまま、最後にはついていけなくなってしまう恐れがあるということです。
悲しい連鎖が起きることも
小学校の国語、理科、社会、といった教科は、各単元がそれほど密接につながっているわけではありません。たとえ理解しないまま次の単元に進んだとしても、それが次の単元を理解する障壁になってしまう場面は少ないでしょう。
しかし算数はそうはいきません。各単元は延々とつながり、それが発展していきます。つまづいて理解しないままでいることは、次の単元を理解する際の大きな障壁となり、極端な言い方をすれば、次の単元も、そして次の単元も理解できないという、悲しい連鎖を生み出します。
そして理解できないまま学年は上がり、より高度で発展した内容へと進んでいきます。
最後には、外部の救いの手がなければ、どこが分からないのかも分からないという状態へと陥ってしまいます。
先生はがんばってくれるけど
算数の初歩ができないといったことがないよう、かけ算くらいまでは先生も時間をかけて優しくゆっくりと確実に覚えさせようとしてくれます。
よくあるのは、かけ算の暗唱を先生の前で一人ひとりさせ、暗唱できた子の名前の横にシールを貼っていくという、各自の進捗状況がしっかりと分かり、かつ生徒の競争心をくすぐる昔ながらの方法です。
ほとんどの先生は、生徒全員が確実にかけ算を暗唱できるようじっくりと指導してくれていると思います。
ただ、いつまでもこんな風にじっくりと指導してくれるでしょうか。
4年生くらいから始まる算数の明暗
算数の得意な子、苦手な子
2年生でかけ算を習って3年後、5年生の単元の「割合」が始まると、それまで、ある程度は算数ができていた子でも、急に算数に苦手意識をもち始めてしまうことがあります。
ある小学校の先生は4年生くらいから各単元が難しくなってきて、理解できない子が現れ始め、5年生ではできる子とできない子にだいぶ差が出てくるといいます。3年生から始まるという先生もいらっしゃいます。
しかし、だからといって2年生で初めてかけ算を教えてくれた時のように、ていねいに一人ひとりができるようになるまで教えてくれるという先生はいらっしゃるでしょうか。
掛け算の九九のときのように、名前の横に「できるようになりましたのシール」を貼ってはくれないでしょう。
どうすれば悲しい連鎖を避けられるのか
算数に苦手な単元があったり、苦手意識があるのであれば、授業以外の時間に予習または復習していくよりほかに方法はありません。ほうっておいても一人では理解できるようにはなりませんし、時間がたつほどに事態は悪化していきます。
もし、子供が小さいうちから自宅で算数の勉強をみてあげる習慣ができていれば、このような事態は避けられるでしょう。
少なくとも授業に全くついていけないという深刻な事態になる前に、なんらかの対策をたてることができます。
算数検定を利用した学習
算数検定をベースとして勉強
我が家では小学2年生の春から自宅で勉強をさせるようにしました。最初は1学年前の足し算、引き算、そして2年生の単元である九九の暗唱などから勉強を始めました。
算数検定の受験は、習熟度をはかるため、そして子供にとっての目先の目標としての意味合いでしたが、うちではだんだんと検定に沿った勉強方法へとシフトしていきました。
そして、自宅学習を始めておよそ3年後、5年生の春に目標としていた義務教育の範囲を終了しました。
いつのまにかできる子に
今でこそテストではクラス内でトップの点数をとってきますが、小学2年生までは、算数はおろか勉強ができるという印象の子ではありませんでした。
当時ちょくちょく話で聞いていた九九の暗唱は、クラスのお友達よりも覚えるのに時間がかかっていたような印象です。
そんな子ですので、幼い頃から算数を中心とした自宅学習をはじめていなければ、先に触れたような悲しい連鎖に陥ってしまっていたかもしれません。
少なくとも算数が得意と自信をもって言えるようになったのは自宅学習のおかげでしょう。今となっては、とりあえずは九九くらいはと始めた算数の自宅学習が正解だったと実感しています。